「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」皆さん、ご存知ですか?
大宮のOffice7Fさんの「題名のない大宮昼食会」でお会いした安部さんが、編集長ということで、初めて存在を知りました。購読すると、新聞が届いて、おまけで食べものが届くという何とも「太っ腹」な情報誌なのです!

「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」を初めて知る

「埼玉の特産って何だろう?」
北海道生まれ千葉育ち東京在住の自分は、埼玉といえば「海の無い県」というイメージと「コバトン」「深谷ネギのふっかちゃん」など、ゆるキャラの知名度が大きく「名産、名所と訊かれても特に思い浮かばない県」というのが率直な感想です。埼玉県民の皆さん、ごめんなさいね。しかし、東京都民は、埼玉に足を向けて寝ることは決して出来ないのです。

もともとは海辺だった「埼玉」。
川が多く、中でも荒川と利根川に挟まれた肥沃な土地は、江戸の庶民の食生活を支えるために幕府からの命令で新田開発がされました。なんでも出来て、一年を通じてずっと同じものを作るのではなく、四季折々、少しの期間・量で常に20~30品目を作る農家がほとんどです。直売が多いので売ってはいますが、働いていると買いにくいです。

江戸の台所である「埼玉」。
埼玉で作られた野菜は東京へ出荷され、埼玉の地元ではあまり売られていません。埼玉県民は、東京に出稼ぎに行き、埼玉に寝に帰ってくるだけで、普段仕事で東京にいるから、東京で東京のものを食べた、買っているつもりが、実は生産地は埼玉だったりするマジック!

言われてみればなるほど「懐が大きい埼玉」。
埼玉は、戦争や空襲、大震災などで住まいを失くしたり疎開してきた都民を多数受け入れており、東京だけでなく、実は北の宮城、福島などから移り住んでいる方が多い県なのです。今では「子どもたちが多くなった」とも言われており、都民だけでなく、別の地域から来られた人たちも受け入れ、皆の食生活を支えているのです。

実は「農業・野菜作りが盛んな埼玉」
野菜の産出額は全国6位、農業生産伸び率も1位って、なかなかグッドポジションじゃありませんか!あんまり知られてないけど実は地味に「スゴイよ・埼玉」なのですよ!

以上、大宮のコワーキングスペース7Fさんで開催されている「題名の舞い大宮昼食会」で、「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」の編集長、安部邦昭さんから、さらっと伺ったお話しです。

そんな農業が盛んな埼玉でも、埼玉に住んでいながら、自分たちが住んでいる県で、どんなものが作られているか、知らない人が多い。でもそれって、興味のない関心のない人は、どこに住んでいても同じではないでしょうか。自分も、千葉の実家で父が野菜を作り米を作っていますから大変さはわかっているつもりですが、他の農家の方のことは特に知ろうとも思っていない節があります。

この「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」は、そんな食べる専門の皆さんに、生産者の農家さんのことを教えていただける情報誌で、おまけで、その食べものが届くというシステム!
俄然、興味が湧いてきました!調度、北本トマト特集号が刊行され、北本トマト農家の加藤浩さんにお話を伺う座談会が開催されるというので、参加してきました!

食べる通信とは?

ポタジェは、埼玉だけにあるのではなく、日本全国で発行されています。
「日本を食べる通信」とは、食のつくり手を特集した情報誌で、収穫した食べ物がセットに定期的に届く画期的で世界初の「食べものつき情報誌」です。
食べる、買う側の人は生産者や食べ物のことを知り安心して買って食べることができ、つくり手も、買って食べてくださったお客様の声を聞く、直接繋がることでモチベーションをあげ、生産の励みとなり、地域農業の発展を目指しています。

つくり手のこころが、読んで伝わる。食べて伝わる。食べる通信
http://taberu.me/
現在38通信あり、関東では、築地、神奈川、伊豆、埼玉の4箇所で意外と少なかったのが驚きです。

自然が近くに在る方が、いいよね

座談会の前に、編集長の安部さんにお話を伺いました。

–ちよ子
安部さんは、大宮経済新聞や、都市づくりNPOさいたま、大宮ぷろでゅ~すなど、多岐にわたる活動をされていますが、どういった経緯で「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」を出すことになったのですか?

–安部さん
もともと自然環境が専門分野です。「生きものと共生した街づくり」を目指し、街づくりに自然を取り入れるワークショップやコーディネート、市民参加の公園づくりなど、環境コンサルタントとして研究にも取り組んできました。

大宮経済新聞や、大宮ぷろでゅ~すなども携わってますが、自分の街に関心、興味がある人は、自分の住みやすい環境にしようと意識しますし、情報も積極的に収集し、どんどん動きます。でも、もともと関心のない人は、どんなに「自然は大事ですよ」と書いても記事は読まれることはありません。そこで発想を変えました。「自然の近くに在るほうが、いいよね」と。

–ちよ子
発想を変える?ですか?

–安部さん
自然があるほうがいい、緑があるほうがいい。問いかければ、皆さん、そう答えます。
実際に、街のあちこちに緑がある、自然がある、畑があります。この自然は、知らず知らず、この街に暮らす私たちを癒しているんです。

地元や農業や街づくりに関心が無い人でも、ビルの中に公園があって自然があるとリラックスしますよね。緑があるとほっとします。大宮には、農家が沢山あって、生産者さんが日々、畑で食べものをつくっている。そんな生産者がいることを知らない人は実に多い。知ってもらうことで、この地元を知ってもらう、地元を好きになってもらう発想に変えました。

この畑は、気づかない恩恵を与えてくれているんです。ビルの合間にある畑のおかげで、温度が下がり、ヒートアイランド現象が抑えられます。意識している人は少ないです。畑が身近にあるのは人が暮らす生活する環境としてプラスなんです。子育て中のお母さんは、お子さんに、土いじりや、芋掘りや、田植え、農業体験などさせたいと思ってる方が非常に多いです。畑が近くにあると子育てにもプラスなんです。だから「自然が近くに在る方が、いいよね」

生産者さんの思いを、しっかり伝える

–安部さん
ちよ子さんは、野菜を買うとき、何で買ってますか?

–ちよ子
私は、八百屋さんが隣なので、仕入れた八百屋さんを信頼して買ってるだけですね。値段は見ますけど。

–安部さん
皆さん、スーパーで特価や安売り、セール品など値段を見て買いますよね。つくった人が誰なのかまでは意識して買ってませんよね?

–ちよ子
今でこそ、道の駅や農協さんで、少しずつ「この人がつくってます」っていう顔写真と名前が載っていたりしますけど観光のイメージが強いですね。普段の食生活の買い物では、この人のだから買う、というのは無くて、裏に書いてあったとしても、値段と量、状態、賞味期限などで選んでしまいますね。

–安部さん
どこの誰がつくったか。野菜でも穀物でもお肉でも、スーパーでは誰かは書いてないから、わかりませんよね。顔を知らないと「値段だけしか見ない」。だから、あとでクレームがあったりする。相手が見えないとキツイことも平気で言えてしまいます。でも、どんな人がつくっているか知っていたら?それが近所の人だったり付き合いのある人だったら?そこまで酷く言ったりしないと思うんですよ。天気も大荒れだったし、小さくなっちゃっても無理ないかなと想像したり思いやりが持てますよね。

–ちよ子
そうですね。うちの父も野菜やお米をつくってますが、いつも「美味しい美味しい」と食べてくれて、ちょっと出せないような崩れたものでも、欲しがって貰ってくれる人もいて、「いつもありがとう」と何か違うものをプレゼントしてくれたりして、ありがたいです。

–安部さん
食べものを買って食べる人がいる。食べものをつくる人がいる。農業は、つくる人と食べる人を繋ぐこと。では何を伝えて何を共有すべきか?2015年から1年かけて準備をして、創刊して調度1年になります。

–ちよ子
1年ですか。年何回発行しているんですか?

–安部さん
年4回発行。春は4月、夏は7月か8月。秋が10月、冬が1月です。
生産者さんのこだわり、ご苦労、始めるにあたってまでのストーリーや、続けるためにどうやっているのかなど、それら思いを載せています。

消費者が生産者を知るきっかけを作る。知る機会になる。自分のことのように消費者が生産者を見ることが出来る情報誌です。

生産者は住んでるところと、つくってるところが近かったりします。人となりを知り、思いを持ってつくったものだと知って食べていただく。消費者と生産者がお互いの顔が見えることで、美味しさが増したり、寄り添う、感謝する。生産者さんの想いをしっかり伝えることに力を入れています。

歴史や豆知識、特別レシピで楽しく食育

–ちよ子
ちょっと見ただけですが、凄い情報量で、丁寧に取材して書かれていて、写真やイラストなども多く見やすく、定期発行で出すのは大変じゃないですか?

–安部さん
発行までの準備は大変です。
企画をたてて、生産者さんに何日も取材して、前年のうちに完成品の写真を撮っておいて、今年100日間しか出ないものが、天候などの影響で育たないとなれば、無駄になってしまいます。でも、自然にはかないません。生産者さんも同じです。
3か月にいっぺんの発行でスケジュールもタイトで、おまけの食べものの梱包、発送も自分たちが生産者さんと一緒にやっています。生もので鮮度が命、旬のものを美味しく食べていただきたいですから、時間との戦いで、常にダッシュで、カンカンガクガクです。

–ちよ子
梱包と発送もされているんですか!凄いですね~!
安部さんは、お料理は、普段されてるんですか?

—安部さん
うちは、夫婦揃って料理つくりますよ。まだ子どもが小さく、8歳、5歳、2歳と食べ盛りです。夫婦でそれぞれ出来る時に食事を作っています。

「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」では、その食べものの基本的な基礎知識、育て方、歴史、豆知識や、特別レシピも載せています。お母さんだけでなく、お子さんも楽しく美味しく食べられるものを考えています。「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」を読んで、生産者さんの想いを知り、基本的なことを知り、興味を持っていただく。レシピを見て参考にしてお子さんと一緒につくって食べて味わう。そんなご家庭の「食育」のお役にも立てると思います。

–ちよ子
安部さん、ありがとうございました。
座談会が始まる前の1時間でお話伺いましたが、このお話だけで、お腹がいっぱいになりました!
次に、いよいよ、北本トマトの生産者・加藤浩さんの座談会の様子をご紹介します!

ワクワク・安心して食べられる・生産者と繋がりたい

座談会、どんなものだろうと思っていたら、ほんとうに畳の部屋に座布団を敷いて正座で、または胡坐でお話を聞く形式でした!
しかも、参加者全員、自己紹介をしていきます。緊張しました!8割が女性で、初めての方もいらっしゃいましたが、どこから来て、どこの出身で、どんな繋がりで(安部さんと何処そこで一緒だったとか)などお話しされていきました。

興味深かったのが、9割が購読者の方だと思うのですが
・実家が農業に携わっていて、もともと興味があった
・埼玉に住んでいるが埼玉の野菜を見かけない、どこにあるのか?と興味が湧いた
・埼玉の野菜づくりを知らないので知りたい
・野菜のことも、農業のこともわからない。だからイチから学ばせてもらってる
・生産者さんのお話を直接聞けるのが嬉しくて毎回来ている
など、
少しは知っている方も、まったく知らない方も「知りたい」「お話をお聞きしたい」という”自分が食べたものをつくってる人は、どんな方なのか”にとても興味関心を持たれている方たちなんだなと感じました。

特に、
「毎回発行を楽しみにしている。毎回取り上げられた食材を使ってオリジナルでパンを焼いている」という方もいて、発行する側として嬉しいですね!

「初回が”ハナマンテン”という小麦で全く知らなかったので、どんな小麦なんだろうと興味を持ちました。実際に届いて使ってみると、扱い方が難しかったですが、美味しい小麦があるんだと知って嬉しかったです。その後も、サツマイモの「紅赤」、深谷ネギ、今回のトマトなど、届いた食材全部でつくっていますが、どれも美味しい!
美味しい食材は知りたいけれど、育て方や歴史など、普段は詳しく知ろうとはしません。ポタジェのおかげで、詳しく知ることが出来て楽しく、毎回ワクワクして読んでいます」というご感想が印象的でした。

また
「後継者不足でやめてしまった農家」の方が、「子どもの頃から野菜は親戚がつくっていて自家製が当たり前で育ったので、スーパーやデパートの野菜を買う気がしない。しかも子どもがアレルギーなので、非常に気を使っている。だからこそ、ポタジェで紹介している農家さんのお野菜などは、どのようにしてつくられているかよくわかるので、安心して食べさせることができる」というご意見もありました。

そして
「北本トマトは知らなかった。トマトなんて家庭菜園で出来ると思ってたが、ひとりで家で作るより、つくってる人と繋がって、北本トマトのことをちゃんと知りたいと思って来た」という方もいました。

生産者 加藤さんの「工夫と探求心」

まずは、北本トマトの簡単なご紹介から。
大正14年1925年から石戸トマトとして生産され海外輸出もされていましたが、やがてつくる人が少なくなっていきます。そんな中、「第9回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で初優勝し、「北本トマト」の名は一気に知名度が上がりました。茨城の「土浦C-1グランプリ」でも優勝、「横須賀カレーフェスティバル」では3位と人気は止まりません。レトルトカレーも販売され、北本市では13箇所で北本トマトカレーを食べることが出来ます。

と、ここまでは「カレー」の話。
加藤さん曰く、「トマトを一年間で一番食べているのはリビアで年150Kg。世界平均水準は約20g。日本人はたったの8.3kg」だそうです!プチトマト2個分くらいで、ものすごく少ないのがわかります!
ここからは、加藤さんのお話しで、特に印象に残っているお話を抜粋してご紹介します。

–加藤さん
北本市に生まれて半世紀、48歳。丸4年くらい離れましたが、家業を継いで23年。今日この時間を大切にしたいです。

参加者20名程の自己紹介を聞いても、全部は覚えられないでしょうが、マイペースにご自分のお話を語ってくださいました。

–加藤さん
トマトは年1回しかつくれないので、まだ23回しか作ってません。
トマトは夏の野菜で、1月2月の寒い時期に植えます。冬の寒い時期なのでLEDライトなど点けても日照時間も多くありません。そんな時に50年に一度の大雪が降って、1日で大きなダメージを受けました。上手く育てるには、長年かけて培った経験プラス技術力でカバーするしかありません。

いったんスタートしたら、戻りません。失敗してもやり直しがききません。やっていると、いろんなことがあります。100点が80点に減ったら減った分増やすのは難しい。それ以上減らないよう、現状を維持するしかない。1年が本当に、あっという間です。

–安部さん
北本さんの工夫の積み重ねが、凄いんです。
一般の方は、「農家って、毎年同じ場所で同じものを同じ方法で同じように作っているだけ」と思われてる方が多いようですが、実は、そんなことは無いんです。同じ場所に同じ作物を作り続けてはいけない、土地を休ませる必要がある。日々、天気が違うように、温度や湿度、台風、大雨、竜巻、降雪、干ばつ、雨不足、害虫被害など、毎日、毎週、毎月、毎年、同じことは一度も無く、違うことの連続!

–加藤さん
毎年同じことをしていたら育ちません。
一度失敗したら、復活は出来ない「なまもの」なので、現状に甘えず、いかに手をかけるか模索しています。

20代~30代後半までは、自分が、上手だなと思った人に技術を教わりに行ってました。
親のやり方をただ教えてもらったとおりにやるんじゃなく、近所の生産者、いいなと思う生産者から技術を教えてもらう。自分のやり方、考え方が家族と違えば、自分のやり方をやればいいんです。面白い、凄い技術を真似しようとする。1年取り入れてみて、つくれなかったら、やめればいい。

他のいいなと思った農家さんに見学に行っても、写真と同じ静止画なんですね。動画じゃないから、住み込みで何日も付きっ切りでやってるわけじゃないから、その時はわかったつもりでいても、いざ、自分の畑でやると、違うんです。同じようにいかないんです。何かが足りないか細かい部分を見落としているか。できないなら自分の土地のやり方を模索していくしかないんです。これで満足しない。探求心をもってやってます。

生産者 加藤さんの「直売のこだわり」

直売所で直売をしています。毎日毎朝収穫して、その日採れたトマトを袋に詰めて量を測って並べています。農協やスーパーにも出してますが、好きなものを好きなだけ詰めて買ってもらうほうが、お客さんの好みに応じられる。午後一時半から四時半くらいで完売したら終了。土日は1時半から4時まで。月曜休み。7月10日くらいで直売所は終了です。スーパーなどでは販売しています。

もともと親が直売所をやっていました。昔はトマト、キュウリ、露地野菜の3軒で組合を作ってやってて、3年前までは通年やっていましたが止めました。ご希望に応えて、茄子やオクラなど、いろいろつくったりもしましたけど、手間がかかるので減らしました。

一時期、ネット通販もやりました。大阪など、知らない地域から買って下さる方もいて売れたんですが、まったく反応が無かったんです。メールの返事が来ない。美味しかったのか不味かったのかもわからない、ありがとうも無い。直売所は、お客さんと直接話しますから。お客さんの声が聞けないので、やめました。今なら、facebookなどで気軽に発信できますが、その頃は無かった。お顔が見えて、話ができて、意見を聞ける方が嬉しいです。

最近、北本市内の農家人口の生産者年齢が上がってきていて、北本トマトをつくっている農家は10軒くらいです。北本市内は、量販店が多く、あらゆるスーパーが近くに建っていて、あちこちで野菜が売られていて、どこでも買えます。量販店では、一定量が必要なので、生産量の多い栃木や熊本のトマトが売られているのが現状です。

うちは、あちこち出すのではなく、何カ所かに限定しています。遠くだと、置いたら次の日まで任せっきりになってしまい鮮度がわからない。いつでも新鮮なものを持って行けるよう、家から近いスーパー3カ所、農協、そして直売所。小規模でも生産にのほうに活かしたいです。

生産者 加藤さんの「無農薬のこだわり」

–加藤さん
消費量の多いイタリアなどでは生で食べる習慣は無くて料理に入れてしまっている。日本は生でトマトを食べるほうが圧倒的に多いので、北本トマトカレーのような、新しい使い方、変わった調理方法を考えています。

–参加者の方
トマトで一番好きな、気に入っている食べ方はありますか?

–加藤さん
トマトをつくっていると、割れたり傷物が出たりするので、子どもの頃から食卓でカレーで食べてました。煮込んでスープで食べたりもしてました。

ただ、自分が継いでからは、料理をする時間がありませんし、味を見るのに、自分が生で食べちゃうんですね。どのくらい完熟しているか知っておきたいので、つまんで食べてるんです。だから、農薬を使わないようにしています。いちいち洗うのが面倒ですから。昔から使ってませんけど。
子どもが小さい時なんかは、ハウスに連れていくと、遊びながら、いっぱい食べちゃうんです。青いトマトでも平気で食べるので味覚が違うんだなあと。やっぱり子どもが食べるので、農薬を一切使ってなくて助かりました。

農薬を使うと、トマトが持っている本来の力が発揮されず、農薬を使わないと病気になってしまう弱いトマトになってしまいます。農薬を使わないことで、苗本来の持っている力を出させるべく甘やかさずに育てています。

–参加者の方
今までつくった中で、これはうまくいった、可愛いなと思うトマトはありましたか?

–加藤さん
先生と一緒。この子が特別というのは無い。クラスの中には、いろんな生徒がいるでしょ。どの子も可愛い。各農家、どこも愛情をもって育てている。自分も同じ。

自己満足で自分で作ったトマトで、将来、時期を上手く取り入れて、食べて喜んでもらえる品種を作りたいです。
栽培する環境も、次の世代の為に今の時代に合ったハウスを考えるべき。
昔は、真冬の寒さに耐えるために作られていて、こんなに夏が熱くて気温が高いことは想定されていませんから。今の時代の気温、暑さにあわせて、比較的緩やかに、ゆったりとした広い空間で生育しやすい環境のハウスを作る必要があると思います。

生産者 加藤さんの「未来の農家とは」

–参加者の方
いつか新種をつくりたいと思いませんか?

—-加藤さん
種を取るまでに1年かかり、栽培するのに「コレだと決まる」まで10年はかかるので、今はそこまで余裕は無いです。種から苗を育てるのに土づくりが必要で、病気にならないように根を強くする必要があります。

病気にならない、またはなっても発病しないように抵抗性を持たせて品種改良をしていく。農業は、品種改良と病気の追いかけっこですね。品種改良してせっかく強くさせても、また今度は違う病気が出てくる。この繰り返しが、品質を高め、美味しさを求め、開発の源となっていると思います。

–参加者の方
お子さんが継いでくれると言ったら嬉しいですか?

—加藤さん
子どもが3人いて2人女の子で、小6の子が「農業をやりたい」と言ってて他の親御さんに「良かったですね」って言われたんですが、全然よくないです。もっと他にやりたいことは無いのかと。

農業は、定年が無いんです。健康で元気なうちは、ずっと続けると思います。子どもがしたいと言うなら、一緒にやってもいいです。

トマトづくりは、大学で土の勉強をしてて論文を書いているうちに「自分でもやれるんじゃないか」と思ってしまったのが、はじまり。若い頃から育成会に参加してて、そこで地域の集まりがあったり仲間もいて自分もやってみたいと思ったのが働くきっかけになった。誘われてありがたかった。今もそうですが、何かに所属して、皆でワイワイやるのが好きなんだと思う。

家業の農家を子どもに引き継ぐかどうかは、今は、もう、そういう時代ではない。家族でも考え方、やり方が違えば自分のやり方をすればよく、家族じゃないけど、家族のような経営に、これからは、なっていくと思う。他人だけど、北本トマトが好きで、どうしてもつくりたい、一緒にやっていきたいという情熱、熱意がある人がいれば、一緒にやっていきたいです。

「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」北本トマト生産者加藤さん座談会・まとめ

座談会が終わった後、参加者(購読者)の皆さん、口ぐちに「面白かったー!」「生産者さんのお話が聞けて楽しかった」「あっという間だった。もっと話を聞きたかった」「また来たくなった」「農業って難しそうで遠い世界だと思ったけど距離が縮んだ気がした」など、大好評でした!わたしも同感!また参加したい!楽しかった!!

北本トマトの加藤さんが、いろいろお話しくださって勉強になり楽しかったですし、安部さんが合間合間に補足や質問などしてくださるので、深くて濃い内容の座談会になったと感じます。

意外だったのが、帰り際の加藤さんの格好が、やけにスポーティーで「ランナー」みたいだったので話しかけたら「週末、山岳マラソンの大会に参加するんです」とサラッと仰る!朝早く起きて日々情熱をもってトマトを作り続ける北本トマトの生産者・加藤さんはランナーでもあった!しかも山岳!どんだけキツソウか!!皆で、加藤さんの走る姿を応援しましょう!がんばって~☆彡

農家さん。
それは、毎年ただ同じことをしてるんじゃなく。日々、見守り、成長する力を信じて、ひたすら育てる!天気に左右されること、病気や害虫被害なども想定して受け入れて、日々、違うことをしていく、何かしら工夫していく、「常に臨機応変に向かってくる現実に対応し変化する」ことの連続なんだなあと感じました。また、将来の農家の在り方についてなども、現場の側から、私たちに一筋の光を投げかけてくださったような気もします。

北本トマト。直売所は終了していますが、農協やスーパーで見かけたら、ぜひ買って食べてみてください!
また、ぜひ、「ポタジェ~食べる通信 from 埼玉~」購読ください!

編集長の阿部さん、北本トマトの加藤さん、ありがとうございました!
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